四分位偏差とは?求め方・四分位範囲との違い・使い道を例題で解説

四分位偏差とは、データの中央50%がどのくらい広がっているかを表す指標です。公式は(第三四分位数 − 第一四分位数)÷ 2で、四分位範囲(IQR)の半分にあたります。

平均値を基準にする標準偏差とは違い、中央値の周辺にあるデータの広がりを見やすいのが特徴です。この記事では、四分位偏差の求め方、例題、四分位範囲との違い、使い道、計算方法の注意点をまとめます。

データを四つのグループに分けて中央の広がりを示す四分位偏差の図
データを四つのグループに分け、中央の50%の広がりを確認します。

まず結論:四分位偏差とは

四分位偏差は、第一四分位数(Q1)と第三四分位数(Q3)の差を半分にした値です。中央値を中心に、データの中央50%がどれくらい広がっているかを、元データと同じ単位で表します。

四分位偏差 =(Q3 − Q1)÷ 2 = IQR ÷ 2

値が小さいほど中央付近にデータが集まり、大きいほど中央50%のデータが広がっています。ただし、単位やデータの種類が違う値を、四分位偏差だけで単純比較することはできません。

四分位偏差の公式と構成要素

四分位偏差を求めるには、まずデータを小さい順に並べ、第一四分位数と第三四分位数を求めます。Q1は下位25%の境目、Q3は上位25%との境目です。

記号・用語意味見る位置
Q1(第一四分位数)データの下から25%付近の境目下側の代表値
Q2(中央値)データを半分に分ける中心50%点
Q3(第三四分位数)データの下から75%付近の境目上側の代表値
IQRQ3 − Q1中央50%の全幅
四分位偏差IQR ÷ 2中央50%の半幅
四分位範囲と四分位偏差の広がり方を比較した図
四分位範囲は中央50%の全幅、四分位偏差はその半分として表します。

たとえばQ1が12、Q3が28なら、IQRは16、四分位偏差は8です。四分位偏差は、中央値の左右にある中央部分の広がりを、片側の距離に近い形で読みたいときに便利です。

例題で見る四分位偏差の求め方

次の8個のデータから四分位偏差を求めます。

2, 4, 5, 7, 8, 10, 12, 15
  1. データを小さい順に並べます。今回はすでに並んでいます。
  2. 下半分の 2, 4, 5, 7 の中央値を求めると、Q1は4.5です。
  3. 上半分の 8, 10, 12, 15 の中央値を求めると、Q3は11です。
  4. IQRは 11 − 4.5 = 6.5 です。
  5. 四分位偏差は 6.5 ÷ 2 = 3.25 です。
データを並べ替えて第一四分位数と第三四分位数を求める手順の図
並べ替え、Q1・Q3の位置確認、中央の広がりの計算という順に進めます。

この例の答えは四分位偏差3.25です。なお、Q1・Q3の定義には、中央値を除いて上下半分の中央値を取る方法や、百分位点を補間する方法があります。問題文、授業、Excel、統計ソフトで指定された方法を優先してください。

四分位範囲と四分位偏差の違い

四分位範囲と四分位偏差は似た名前ですが、表している幅が違います。どちらもQ1とQ3を使い、外れ値の影響を受けにくい中央部分を見ます。

指標公式表すもの向いている場面
四分位範囲(IQR)Q3 − Q1中央50%の全体の幅外れ値候補の確認、箱ひげ図、分布の比較
四分位偏差(Q3 − Q1)÷ 2中央50%の半分の幅中央値周辺の散らばりを簡潔に示す
標準偏差平均からの偏差を使う全データの平均周辺の散らばり分布全体を数値化し、平均を基準に比較する

外れ値候補を1.5×IQRで確認したい場合は、箱ひげ図作成ツールが便利です。平均からの散らばりも合わせて確認したい場合は、標準偏差計算と使い分けます。

四分位偏差の使い道

外れ値の影響を抑えてばらつきを見たいとき

極端に大きい値や小さい値があると、平均値や標準偏差は大きく変わることがあります。四分位偏差は中央50%を使うため、少数の極端な値に引っ張られにくく、典型的なデータの散らばりを確認しやすい指標です。

中央値と一緒に分布を説明するとき

中央値だけでは、中央付近のデータが密集しているのか、広がっているのかが分かりません。中央値と四分位偏差をセットで示すと、「中心はどこか」と「中心付近の広がりはどれくらいか」を分けて説明できます。中心の値そのものを確認するときは、中央値計算ツールも使えます。

順位データや偏った分布を比較するとき

所得、待ち時間、アンケートの評点など、分布が左右対称とは限らないデータでは、平均だけで代表させると実態を見誤る場合があります。中央値、Q1、Q3、四分位偏差を併記すると、分布の偏りを説明しやすくなります。

注意:四分位偏差が小さいからといって、データ全体が均一とは限りません。中央50%の外側に極端な値がある可能性もあるため、最小値・最大値や箱ひげ図も確認します。

計算方法が違うときの注意点

四分位数は、データ数が少ないときや境界位置が整数にならないとき、計算方法によって結果が変わることがあります。特にExcelでは、関数によって補間の考え方が異なります。

確認項目確認する内容
Q1・Q3の定義中央値を上下半分に含めるか、除外するか
補間方法境界位置が整数でないときの値の決め方
比較条件同じ計算方法・同じデータ範囲で比較しているか
報告時の注記使用した関数名や統計ソフトの設定を残しているか

Excelで確認する場合は、Q1とQ3を同じ関数体系で求めてから、=(Q3-Q1)/2 と計算します。計算結果が教材や別のソフトと違うときは、数値をすぐに誤りと判断せず、四分位数の定義をそろえてください。

分散や標準偏差のように平均を基準とする指標も併用する場合は、分散計算標準偏差計算の結果と、中央値・四分位偏差の結果を別の役割として読み分けることが大切です。

よくある質問

同じではありません。四分位範囲はQ3−Q1で中央50%の全幅、四分位偏差はその半分です。IQRが20なら、四分位偏差は10になります。

データを小さい順に並べ、Q1とQ3を求めます。その差を2で割った値が四分位偏差です。公式は(Q3−Q1)÷2です。

目的によります。四分位偏差が小さいと中央50%のデータは集まっていますが、ばらつきが大きいことが必ずしも悪いとは限りません。単位、対象、許容範囲と合わせて判断します。

外れ値の影響を抑えて中央値周辺を見たいときは四分位偏差、平均を基準にデータ全体の散らばりを見たいときは標準偏差が向いています。分布の形と分析目的で選びます。

四分位数の定義や補間方法が異なる場合があるためです。比較や報告では同じ計算方法を使い、必要なら関数名や設定を明記してください。

まとめ

四分位偏差は、Q1とQ3の差であるIQRを2で割った値で、中央値周辺の中央50%の広がりを表します。外れ値の影響を受けにくいため、平均だけでは説明しにくい偏ったデータや順位データのばらつきを確認するときに役立ちます。

実際に使うときは、Q1・Q3の計算方法をそろえ、中央値や箱ひげ図、必要に応じて標準偏差と組み合わせて、分布全体を読み取るようにしましょう。